古代ロシア文語の萌芽期の最終段階あるいは成長期の初期段階を『イーゴリ遠征物語』出現以前の12世紀初頭と措定し、ちょうどその頃(1115年頃)成立の『ムスチスラフ福音書』のテクストを対象として、その言語的特徴を明らかにした。萌芽期の前・中期における東スラヴ語化の個別的・一回的生起からカテゴリカルな生起への変容プロセスが進行していると予測され、この点を特に追求した。当該テクストの電子化と順引き・逆引き語彙索引の作成も試みた。2009年度末に冊子体の報告書(iii+167ページ)を刊行し関係各位に配布した。
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