本年度の研究は、今後4年間の研究の基礎をなす文献・資料の収集、データの整理、翻訳、現地調査、研究発表を中心に行なった。 1.【文献・資料の収集、データの整理、翻訳】 十九世紀から現代に渡るベルリンを中心とするドイツ演劇関係の基礎文献・資料、劇作家の作家研究、戯曲研究、劇場史、都市論、建築論、近代思想史、メディア論など近代国家の文化空間の表象に関する文献の購入を進め、分析し、その結果を公表した。また、現代ドイツ語圏の演劇状況を日本に紹介するために、劇作家ルネ・ポレシュとジョージ・タボーリの戯曲を翻訳し、出版した。 2.【現地調査】 2006年5月にベルリンを訪問し、当地で行われていた演劇祭「ベルリンの出会い」事務局を訪れ、その歴史、理念、組織等を現地調査した。この演劇祭は、ベルリンの壁が建設された直後の1964年に始まり、東西の壁を克服することを理念と掲げた。壁のない現在でも、東西ドイツ、スイス、オーストリアのいずれにも偏らない作品の選択を特徴としている。演劇祭の運営は、公共劇場が主であるドイツ語圏の演劇制度の特徴を十分に反映していた。当初計画していたエルンスト・ブッシュ演劇学校の調査は、残念ながら先方の都合がつかず、実施できなかった。 3.【研究発表】 以上の研究活動の成果発表は「11.研究発表」に記載。
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