研究最終年度にあたる本年度の研究は、本務校の長期海外研修期間と重なるという幸運に恵まれたため、研究開始年度から継続的に実施してきた文献・資料の収集、データの整理に加えて、ドイツ連邦共和国における現地調査、研究発表を行なうことができた。 1.【文献・資料の収集、データの整理】 研究開始年度から継続して、十九世紀から現代に渡るベルリンを中心とするドイツ演劇関係の基礎文献・資料、劇作家の作家研究、戯曲研究、劇場史、都市論、建築論、近代思想史、メディア論など近代国家の文化空間の表象に関する文献の購入を進め、分析、データ整理を行ってきた。本年度はこの作業を現地にて行った。 2.【現地調査】 ベルリンを中心とするドイツ語圏の公共劇場の制作関係者、ならびに現地で活躍する劇作家、演出家にインタビューを行い、公共劇場ならではの劇場運営の実態を制作と実作者の双方の側から観察し、その特色を分析する機会を得た。また、昨年に引き続き演劇祭「ベルリンの出会い」事務局を訪れ、その歴史、理念、組織、運営の実態を見学した。ヨーロッパの他地域の代表的な演劇祭とは異なり、「ベルリンの出会い」はシーズン中のドイツ語圏の各劇場の舞台から10作品を選び、ベルリンの複数の劇場に招聘する独自のやり方をしている点に特色があった。 3.【研究発表】 以上の研究活動の成果を、立教大学異文化コミュニケーション学部紀要「ことば・文化・コミュニケーション」誌に発表するとともに、ドイツ連邦共和国トリア大学の主催で開催されたシンポジウム「Japanese Theatre Transcultural」にて学会発表した。それぞれの詳細は「11.研究発表」に記載。
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