研究概要 |
本年度はチュニジアの文学状況について研究を続行するとともに、総括をおこなった 1)チュニジアでのシンポジウムTJASSST10(Tunisia-Japan Symposium on Society, Science & Technology)に参加し、チュニジアの作家エムナ=ベルハジ・ヤヒヤの作品の特質について発表した。とりわけジャック・デリダの文学観に対応する、間主体的な人間像が描出されていることに注目し、現代社会に積極的なヴィジョンをもたらすものとして評価した。 2)チュニジアの文学状況を側面から理解し対比的に捉えるために、アルジェリアで実地調査をおこなった(9月30日~10月6日)。アルジェリアは独立後の社会主義体制や90年代の社会不安にもかかわらず、ある意味でチュニジアよりも文学生産が活発である状況を捉えた。 3)これまでに蓄積した情報をもとに、チュニジアの文学状況の背景となる知識を総括するとともに、過去10年間にチュニジアで発表されたフランス語小説作品について、網羅的な紹介をおこなった 4)以上を総合して、チュニジアの文学状況を概観し、Webで発表した 5)現代チュニジア作家のうちでもっとも質の高い作品を生産しているエムナ・ベルハジ・ヤヒヤの小説作品2作(『見えない宝庫』『タシャレジュ』)を翻訳し、詳細な紹介をおこなった
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