研究概要 |
今年度の目標としていたことのうち、達成したものは以下のごとくである。 (1)タミル古代文学から176作品(うち英雄詩62)を翻訳し、豊富な訳注を付して8月に平凡社(東洋文庫)から出版した。この訳業を通じ、古代文学を真に理解するためには言語に通じるのはもちろん、博物学的知識を持たなければならないことを痛感、従来の文献学的手法のみならず、博物館などでものを見る必要があることが分かった。 (2)9月30日〜10月6日シカゴ大学での「第5回国際タミル詩論研究集会」に招かれ10世紀頃の恋愛詩論研究に従事した。 (3)古代史および文学の発生の問題との関連で,万葉古代学研究所(橿原市)の共同研究員として同所主宰「シンポジウム」(10月)に参加した。 (4)2月16日〜3月10日インド・ポンディチェリーのフランス極東学院「冬季スクール」に招かれ、上級者コースで古代英雄文学のもう一つの詞華集『パディットルパットゥ』を講義、また学会に参加した。これにより、タミル古代の年代論に新たな視点を得た。なお、同学院の好意で、上掲書の写本のデジタルコピーを入手することができた。
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