(1)本研究では、従来の研究方法を離れ、英雄文学を再検討し、それから得られる史実、すなわち添書など伝統的解釈の妥当性について検討すること、タミル古代の歴史・文化・社会についても新たな知見を得ること、この2点を研究の目的とした。 (2)狭義の「文献学」的な読み方だけでは読めないことを痛感し、考古学・地学・気象学・植物学・鉱物学その他関連諸学の理解にも努め、21年度はそれら諸学のうち、古代の衣類・食べ物を重点に置き、一定の成果を得た。 (3)それらとの関連で、5月には英国ケンブリッジ大学での国際ワークショップで古代の農地について研究発表し、9月には京都での第14回国際サンスクリット学会で部会統括をするとともに、古代の作者についての研究の一端を発表した。 (4)上記の2つの国際学会の準備のため、博物館資料・民俗学的資料を実地に見るという目標はあまり達成できなかった。ただし、インド古代史・古代文明を考えるために、総合地球環境学研究所(京都)や万葉古代学研究所(橿原市)主宰の共同研究には参加した。
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