20年度は、(1)海外のシンポジウムでの研究成果の発表、(2)海外研究協力者との共同研究、および成果の発表(3)研究成果公開促進費による学術出版、(4)研究用図書の蒐集、を行った。 (1)については、8月末に台湾中央研究院中國文哲研究所主催の「明清文學文化中的秩序與失序國際學術研討會」にて、「明清散文如何書寫家庭暴力與女性(明清の散文はどのように家庭暴力と女性を描いたか)」というタイトルの論文発表を行った。その時の論文は、文学のみならず女性史の研究者からも注目され、12月に台湾中央研究院近代史研究所が発行する『近代中国婦女研究』に掲載された。 (2)については、10月末から11月にかけて中国に出張し、海外研究協力者である復旦大学の〓国平教授、南京大学の曹虹とともに上海図書館、南京図書館、桐城図書館に赴き、関連する書籍調査を行った。その最新の成果は、(3)で言及する学術書の内容に反映されている。また、3月には慶応義塾大学斯道文庫に滞在中の復旦大学陳正宏教授を招き、明代の詩画合壁集に関する公開研究会を開催した。 (3)平成20年度の科学研究費成果公表(学術図書)出版として採用されたことから、『歸有光文學の位相』(汲古書院2009)を上梓した。明代、非古の文体の名手とされた歸有光について、研究代表者野村鮎子のこれまでの研究成果をまとめたもので、日本では婦有光に関する唯一の専門書である。 (4)研究用図書の蒐集では、特に奈良女子大学において蔵書の少ない明清時代の関連資料を中心に蒐集を行った。
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