1.「中国現代詩国際学術シンポジウム及び朗誦会」の開催。 2006年11月18日、駒澤大学において、中国から詩人2名(王家新、孫文波)及び学者・詩歌評論家1名(呉思敬)を招聘して、標記シンポジウム(第一部)と朗誦会(第二部)を行った。「詩意」をキーワードに報告を行ったのは、前記三氏の他、現在東京大学駒場で教鞭をとる詩人臧棣(北京大学)と坂井洋史(一橋大学)の二氏。各氏の報告に対しては、中国現代詩を専門とする学者四氏(是永駿、加藤三由紀、林少陽、蘭明)が論評を加えた。同シンポジウムを通して中国同時代詩歌の状況が浮き彫りにされた他、民国期の新詩(口語自由詩)における審美意識(=詩意)の変遷、現代旧体詩が提起する複雑な問題等が提起された。また、第二部朗誦会の詩人の肉声による近作詩の朗誦は、日本ではほとんど聞く機会がないため、シンポジウム参加者から大いに好評を博した。 2.「九葉読詩会」(中国現代詩を読む研究会)の定例活動の充実。 中国現代詩の展開にエポックを作った民国期の学者・詩人の一人兪平伯の著『読詞偶得』(1934年初版、1947年修訂版)を標記研究会で輪読した。1920年代「新詩」を積極的に提唱し、自らも実践した文学者が、古典詩歌の名篇である旧体詩詞をどのように読んでいるかを通して、その審美意識の根底にあるものを考察しようと試みた。また、9月の例会では同時代詩壇をリードする詩人・評論家である臧棣氏(北京大学)を招き、その現代詩歌観と創作態度について語ってもらい、あわせて具体的作品についての質疑も行った。
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