研究課題/領域番号 |
18520282
|
研究機関 | 梅花女子大学 |
研究代表者 |
加藤 康子 梅花女子大学, 文化表現学部, 教授 (60299005)
|
研究分担者 |
三宅 興子 梅花女子大学, 文化表現学部, 名誉教授 (80166131)
高岡 厚子 梅花女子大学, 文化表現学部, 名誉教授 (30107122)
|
キーワード | 絵本 / イソップ寓話 / 絵草紙 / イギリスの絵本 / フランスの絵本 / 伊曽保物語 / 擬人化 / 狐 |
研究概要 |
最終年度である平成22年度に、とりまとめとして下記の2つの発表活動を行った。 (1)展示及び公開講座「世界のイソップ絵本-イギリス・フランス・日本-」と題して、梅花女子大学図書館において、2009/5/11~6/4(前期)、6/8~7/11(後期)に研究成果を展示した。また、「世界のイソップ絵本-イギリス・フランス・日本-」と題する公開講座を共同で、2009/5/26に実施した。さらに「イソップ絵本再発見!-英仏日の絵本を比べて-」と題して、2009/6/9、16、23に連続の公開講座を行った。 (2)研究報告書「日本・イギリス・フランスにおける絵本の国際比較研究-「イソップ寓話」をめぐって-」の刊行研究成果の報告として、下記の目次の報告書を編集・刊行した。1.研究の趣旨2.日本における「イソップ寓話」受容の歴史3.イギリスにおける「イソップ寓話」受容の歴史4.フランスにおける「イソップ寓話」受容の歴史5.コラム1講談社と小学館のイソップ絵本6.コラム2タウンゼンド『イソップ寓話300選』(1867)の日本での受容7.コラム3「カラスとキツネ」のカラスがくわえているものは「肉」か「チーズ」か8.座談会「日本・イギリス・フランスにおける絵本の国際比較研究」を終えて9.図版書誌 「イソップ寓話」の各国における受容の変遷や特徴には、挿絵や絵本の比較をすることで、国民性の違い、それに基づく思想や文化の違い、画家や作者の個性の違いが明瞭に把握されることが分かった。日本では、海外からの新たな文化を受容した後、日本風に改めていくものの、次の文化の到来に伴い、変貌し、温存していかないという特徴を確認することができた。この点は、イギリスが受容したものを保存していく、フランスが導入したものを理解し、一つの優れた受容の形ができると(ラ・フォンテーヌの再話)、それを継承しながら、対応する絵柄は様々な画家がそれぞれの個性を発揮して描いていく、などの受容の仕方とは異なっている。江戸時代の特異な擬人化の手法は興味深いものの、明治以後次第に忘れ去られ、再度外国語を翻訳し、海外の絵を模していく。講談社や小学館の絵本等が、子ども向きの絵本を多く出版したにも関わらず続かずに消えていったことも、英仏とは異なる傾向と見られる。
|