本研究の主な目的は、デジタル化した世界言語地図(世界言語地図ベクトルデータ)を作製し、GIS(地理情報システム)によって、申請者たちが収集してきている膨大な諸言語の諸特徴を組み込み、諸特徴のデータを地図に連動させて表示、検索し、従来の言語類型論や言語系統論を統合する新しい言語類型地理論的研究を行うことであった。そこで、本年度は、18年度の繰り越し分によって作製した世界言語地図ベクトルデータに対して、世界言語地図(Rout ledge社出版Atlas Of The World's Languages)の第1版と第2版との間で、表現や仕様が変更になった部分、および地区、地域、大陸、国別についての区分けが変更になった部分に対して、必要な加工修正を行った。これによって、GIS(地図情報システム)で汎用的に利用し得る世界言語地図ベクトルデータとして、現段階で最新のものとすることができた。 さらに、今年度は、本研究に関連し得る他の研究者たちとの連携を通じて、研究発表を行い、また共同研究による論文を著すことができた。まず、東ユーラシア諸言語に関する言語地理学的研究を行っている研究会に参加して、山本が、本研究を含む世界言語地図に基づいた研究についての発表を行い、それらの研究者たちとの情報交換を行った。また、情報学の研究者たちとの連携により、山本の語順データをSummer Institute of Linguistics のEthnologue GIS System上に地図化した結果について、共著論文を発表した。これらは、今後、本研究の世界言語地図ベクトルデータに言語特徴を関連づけていく上で参考になると思われる。
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