本研究の主な目的は、今までに研究代表者たちが収集した世界諸言語の言語データをもとにGIS(地理情報システム)によるデジタル言語地図を作製し、GISと連動した言語データベースを構築し、様々な表示、検索ができるプログラムを研究開発し、従来の言語類型論や言語系統論を統合する新しい言語類型地理論的研究を行うことであった。 そこで、最終年度である21年度は、以下のような研究を実施した。 1.これまでにデジタル化した世界言語地図を作製したが、本研究で基にしているRoutledge版の世界言語地図の言語名と、研究代表者等の収集した言語名との間には、しばしば相違があるため、20年度に引き続き、両者の言語名の照合、対応の作業を行った。その際、Summer Institute of LinguisticsのEthnologueで利用されているにISO639-3の、各言語に対する3文字コードを介在させることにより、効率的な照合を可能にした。 2.デジタル化した言語地図上に収集してきたデータを結びつけ、地図上のデータを扱うためのソフトを利用して、当該の言語特徴を持つ言語を地図上の位置に対応させ、地図上に自由に表示し、検索でき、複数の言語特徴を組み合わせて重層的に扱うことのできるようなシステムを開発した。 3.これまでの本研究による研究成果を、カラー地図のサンプルを付した報告書としてまとめた。報告書では、地図の作製や言語の照合について論述したほか、研究代表者たちが作製してきた世界言語特徴地図の特徴を、従来のものと比較しながら論じ、さらに、研究者代表者の語順分布を地図上に表示させることにより、研究代表者の語順研究が地図上にどのように現れているかについて分析した。
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