研究課題
本研究は海外での言語調査と国内における調査資料のデータベース化の作業から成っている。19年度はこの方針に沿って、グルジア共和国において実地調査を行った。国内においては、この調査によって得られた資料をデータベース化し、アブハズ語辞書を作成する作業を行った。具体的な研究は以下のように行った。まずアブハズ語調査に関しては、母語話者によるテキストの校正と語法の調査を行った。この調査には今回初めて、アブハジア出身のアブハズ語研究者であるV.A.Chirikba氏の協力も項いた。これを基にしてアブハズ語のテキストを形態素に分析し、グロスを付け、これに英訳と言語的な註を付けた(この一部は論文Abkhaz Text(4)として発表した)。次にデータベース化の作業に関しては、今日までにアブハズ語話者から収集した語彙・文法情報をデータベース化し、これを辞書形式にした。データベースには以下の情報を必ず掲載した:(1)動詞には定形と不定形の現在形・アオリスト形・命令形、および絶対形Absolutiveの形態を必ず載せた(これらの各形態にはその否定形も全て載せた)。また動詞のスロット内での人称接辞の配置方法を必ず載せた。使用頻度が高い動詞は全ての時制形を調査し、その形態を載せた。(2)名詞は複数形と不定形を必ず載せた。(3)全ての語彙項目にはテキストから引用した例文を載せた。(4)例文を含めたアブハズ語には、インフォーマントによって確認されたアクセントを全て付けた。(5)データベース化したアブハズ語の語彙と例文のほぼ全てにロシア語と英語の訳を付けた。
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Studies in Language and Culture. (Graduate School of Language And Cultures, Nagoya University) Vol.29,No.2
ページ: 315-332
http://www.lang.nagoya-u.ac.jp/proj/genbunronshu/29-2/yanagisawa.pdf