本研究では会話フランス語コーパスを用いて、話し手と聞き手の相互行為としての談話構築に関して、文中に出現する名詞句の意味解釈において、解釈領域の果たす役割について考察した。メンタル・スペース理論に基づく談話モデルを用いて、存在文中に出現する名詞句が、発話の場を解釈領域とするときは、Carlsonの存在論におけるstageレベルと見なされるため、本来存在文には許されない定名詞句・固有名詞句でも出現できること、またThere are many Americans who like opera.のような文では、アメリカ人の集合を母集合とし、manyを量化子とする構造を持ち、存在レベルはobjectレベルであることを明らかにした。またThere are many students who caught flu thie winter.では、catch fluという局面レベル述語であるが、タイプシフトが起きてobjectレベルの存在にかかることを示した。
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