アジア諸語の類型論的な特徴の一つに動詞連結(V1+V2)から構成される複合動詞構文がある。本研究は地理的にも隣接せず、系統的にも異なる南アジア諸語(マラーティー語、ヒンディー語)と東アジア諸語(日本語、韓国語)における複合動詞構文を対照させ、その類似点や相違点を明らかにすることを目的とする。さらにマラーティー語における複合動詞の歴史的な発達過程を解明し、日本語・韓国語のそれに関する先行研究と対照させ、言語変化における普遍性と個別性の究明を目指す。 今年度は上記の研究目標の(I)の達成に向けて以下の要領で資料収集および収集されたのデータの分析を行った。 (1)代表者のパルデシはマラーティー語における最も古いとされる14世紀の資料を入手し、データベースの構築を行い、分担者の鄭と研究協力者の柴谷方良とPeter Hookと打ち合わせを重ね分析を進めた。この分析で複合動詞構文は動詞連結構文(serial verb construction)に由来するという通説は少なくてもマラーティー語における複合動詞構文の成り立ちを説明する上では正しいであることが明らかとなった。この研究成果をインド国・マイソル市で行われた国際南アジア言語学会(SALA26)で代表者と分担者は共同で研究発表として発表した。 (2)分担者の鄭は韓国語における最も古いとされる15世紀の資料を入手し、データベースの構築した。今後代表者と研究協力者の柴谷方良とPeter Hookと打ち合わせを重ね分析を進め、マラーティー語との対照研究を着手する予定である。
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