研究概要 |
アジア諸語の類型論的な特徴の一つに動詞連結(V1+V2)から構成される複合動詞構文がある。本研究は地理的にも隣接せず,系統的にも異なる南・東・中央アジア諸語における複合動詞構文を対照させ,その類似点や相違点を明らかにすることを目的とする。今年度はこの研究目標の達成に向けて以下の要領で資料収集および収集されたデータの分析を行った。 代表者のパルデシは複合動詞のV2の位置に使われる「置く」という動詞の文法化・補助動詞化の通時的変化の過程を南・東・中央アジア諸語の共時的なデータをインフォーマントの協力を得て収集し、研究協力者のPeter Hookと打ち合わせを重ね分析を進め、「置く」の文法化の経路の解明に努めた。本研究の成果を日本言語学会135回大会で研究発表の形で公開した。 分担者の鄭と研究協力者の柴谷方良は日・韓語の対照を通じて移動動詞(行く、来る)の文法化・補助動詞化の通時的変化の過程の解明に取り組み、その成果をJapanese/Korean Linguistics, Vol.15(CSLI Publications, Stanford, USA)で公開した。 また、研究代表者、分担者の鄭と研究協力者のPeter Hookは複合動詞の頻度とテキストのジャヌルの相関についてマラーティー語、ヒンディー語、日本語と韓国語を対照させ、共同研究を行った。具体的にはそれぞれの言語で書かれた法律文章(憲法)と小説における複合動詞の使用を時代別に調べ、分析を行った。この研究は関西言語学会第33大会で研究発表として採用され、6月に発表を行う予定である。
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