研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、連続発話における文間・文中ポーズ挿入に伴う発話の調節の詳細を明らかにすることである。すでに、研究代表者による一連の先行研究から、単独発話における文中ポーズの実態が明らかにされてきているが、本研究では、これらの知見をもとに、分析対象をさらに連続発話へと広げ、文中ポーズに加えて文間ポーズについて解析を行う。そして、より大きな発話単位の産生において、発話とポーズが、また文間ポーズと文中ポーズが、互いにどのように影響を及ぼし合うかを明らかにすることにより、ポーズを含む連続発話の産生の背後にある規則性の解明を目指す。今年度は、文中ポーズに先行する発話部分と文末ポーズに先行する発話部分に着目し、これらを、ポーズに先行しない場合と比較して、発話部分の時間的伸張について分析した。その結果、(1)文中ポーズに先行する発話部分の伸張も文末ポーズに先行する発話部分の伸張も、ポーズに先行しない場合との差は有意であったが、(2)文中ポーズに先行する発話部分の伸張と文末ポーズに先行する発話部分の伸張とを比較した場合、後者の伸張の度合いの方がやや大きいという傾向がみられたものの、両者の間に有意な差は認められなかった。ただ、(3)文末ポーズに先行する発話部分の伸張は、文中ポーズに先行する発話部分の伸張と比べて、サンプル間のばらつき(特に母音部分の伸張度のばらつき)が大きいという結果が得られ、文末においては(文中と比べて)「発話のリズム」の制約がより少ないことを示唆するものと考えられた。
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Proceedings of The International Congress of Spoken Communication, Naples, 2006 (In press)