研究課題/領域番号 |
18520331
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
高田 博行 学習院大学, 文学部, 教授 (80127331)
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研究分担者 |
鈴木 亮子 慶應義塾大学, 経済学部, 准教授 (50306859)
小野寺 典子 青山学院大学, 文学部, 准教授 (90248899)
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キーワード | 歴史語用論 / 談話標識 / ディスコース・マーカー / 話しことば / 対照言語学 / ドイツ語 / 英語 / 日本語 |
研究概要 |
研究代表者の高田は、1802年にシュトラースブルクとパリで刊行された稀観書である英独両語の会話本を初めとして、19世紀前半に出版された会話本を18冊入手し、そのテクストをデジタル化した。これらの会話本で扱われているさまざまな日常生活の状況・場面(例えば自己紹介、旅行、観劇、病気)における具体的な会話文を分析した。その結果、話しことば性を反映するため分節詞、心態詞、間投詞、呼びかけ語、省略文の多用などが明確に見て取れるとともに、さまざまな状況(感謝、依頼、賞賛、異議など)における言語的儀礼として現代とは異なる表現が19世紀前半に多く確認されることが判明した。研究分担者の鈴木は日本語の引用助詞の談話機能を細かく分析し、主観的な用法から間主観的な用法へと意味機能の発達に方向性が見られることを論じた。また9月には日本認知言語学会のワークショップで引用助詞における逆接用法の発達について論じた。談話標識の文法化、主観化研究の第一人者であるE.Traugott氏からも「当然ありうる意味変化だが他の言語で確認されておらず興味深い」とコメントを頂くことができた。研究分担者の小野寺は、目本認知言語学会ワークショップで「印欧語のT-V区別」と「日本語の敬語」という2つの異なるシステムに共通するポライトネスの側面について論じた。日本語の敬語は現在世界的にも注目を集めているので、英語で発表することにより海外に向けても発信した。小野寺と鈴木は共同で2007年に、アムステルダムから出版されている専門誌Journal of Historical Pragmaticsの特別号(邦訳題:『日本語の歴史的変化-主観性と間主観性を中心に』)をゲストエディターとして編集した。
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