研究課題
前年度までに引き続き国内外の文献データに当たってメディア言語学の研究動向の最先端に触れ、問題意識を日々刷新する一方で、タイポグラフィーやテクストデザインの研究成果の取り込みをはかった。年度初めにグラフィックデザインの分野での作品・書体の関係についてのアンケート調査を施行したほか、8月には、言語学的視点からメディア理論を構築しているイェーガー教授(ドイツの海外共同研究者)を研究代表者が訪問して意見交換を行い、当該課題の問題圏域の意味論的基礎づけ、メディアと(言語)記号、タイポグラフィーの相関関係の普遍性と言語文化による相対性について概観する指針を得た。平成21年に入ってからは、文学・文化研究領域で言語テクストと図像の関係を考究している研究者、ならびに装丁デザインの現場で研さんを積んでいる専門家から当該部門における最前線の知識の提供を得、その場での質疑応答とディスカッションから、絵画、ポスター、工業製品、書籍などに代表される文化事象、あるいは広く、それらを含み込む社会史をも参照したマクロな視点に立脚してこそ、タイポグラフィーやテクストデザインの布置に有意味な形で論及できることが明らかとなった。以上に縮約される本年度の研究成果は、いわゆるデジタルニューメディアにも着目しながら、日本語やドイツ語をはじめとする言語社会における言語記号(文字)と視覚的記号(図像)の分布や使用法を観察し、文字と視覚的要素との相互行為によって生み出される意味創出と意味伝達の動的な諸相を考察・分析した研究代表者の論考に結実している。なかでもテクストデザインの問題性とのリンケージを試みたうえでのポライトネス研究への視野拡大は、爾来の社会言語学の方法論的進展にも貢献するものと考えられる。
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