本研究は、モンゴル語近代語彙形成のプロセスを明らかにするために、ヨーロッパの近代的な概念や新しい名称がモンゴル語に導入されはじめた当初、中国語や漢字語彙の強い影響を受けたことに鑑み、主として、中国語(日本語から中国語に逆輸入された語彙を含む)からの翻訳語を20世紀初期の文献資料に基づき、考察するものである。 下記の研究は、20世紀の初めころ中国語からモンゴル語に翻訳された『万国公法』(英語からの中国語訳は1865年)が近年モンゴル国で出版されたことを受け、『万国公法』のモンゴル訳をはじめとする当時の諸文献に掲載されていたヨーロッパ諸国名など、地名や地理用語を、報告者がこれまで研究してきた『蒙話報』のばあいと比較し、考察したものである。 現在まで、外国名のモンゴル語表記の出典を中国語の影響から考察した研究はなく、本研究では、ヨーロッパ諸国名のモンゴル表記自体をモンゴル語の「近代語彙」として位置づけている。 1〜3は、基本的に同じ内容のもので、口頭発表であった1の内容を、日本語でまとめて公表したのは2で、3も、基本的に2の内容と同じであるが、当初、掲載ものの本が中国の内モンゴル自治区で出版される予定であったため、モンゴル語の読者にわかりやすくまとめなおし、モンゴル文字で出版した。 1、Transition of Foreign Names in Modern Mongolian: Through the Comparison with"Menghua Bao"and the Mongolian Version of"Wnaguo Gongfa" 2、モンゴル語近代語彙登場の母体--『蒙古話』誌(六)--資料比較にみる外国語固有名詞のモンゴル語表記-- 3、モンゴル語の近代語彙としての外国名とその初期の記述について
|