研究の最終年度にあたり、世界の訓読語詞についてのとりまとめとして以下を行なった。科研費研究報告書として準備していた『訓読語詞の比較研究』を報告書の電子媒体への形態変更に伴い、研究成果資料として発行した。その中では以下のことを行なっている(その要約が電子媒体の研究報告書となる)。 まず、「母字」に基づいた訓読み表記の分類を行なった。「母字」として主要なものに、漢字、楔形文字(シュメール文字、アッカド文字)、アラム文字、が挙げられる。とくに表音文字であるアラム文字を母字とする中期イラン諸語(パルティア語、中期ペルシア語、ソグド語、ホラズム語)については、他の表音文字を母字とする訓読語詞(ヒッタイト語アッカド語詞、古アイルランド語ラテン語略号訓読語詞)と比較して、その特徴する。また、世界の訓読語詞を分類する様々な指標についても、具体例を挙げながら示した。 日本語研究者にとってとくに疎いと思われる母字楔形文字、母字アラム文字の訓読み表記について、テキストの具体例を挙げて示し、他分野の研究者の参考になるように図った。 なお、2009年5月が原稿提出締め切り(その後採否の審査あり)なので2008年度までの成果には入っていないが、2007年度にウィーンで行なった学会発表"Heterographic Writing Systems in Parthian and in Other Languages"「パルティア語や他の言語における訓読み表記」」を加筆訂正してその報告論文集に投稿済みである。研究成果資料『訓読語詞の比較研究』についても2009年度にウェブで公開し、研究者のへの便宜を図る予定である。
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