研究課題
機能類型論の観点からドイツ語の文法構造と意味機能の相対性・連続性を実証的に解明することを目標に、以下の役割分担を推進し、論文および口頭発表などで成果を公表した。(1)格や構文といった形式的側面において、また人称性・非人称性といった意味的側面において日独両言語の特徴の比較を推し進め、さらにそれらをアジア言語・ヨーロッパ言語の中で俯瞰的に位置付けることを試みた。(2)文法や意味の問題を言語学のみならず、それに隣接する文化学や認知論のコンテキストで再考する契機を提供した。小川はその成果を論文の形式でドイツや英国で公表した。日本におけるドイツ語学の先駆者である関口存男の非人称構文論を、また話題優先型言語としての日本語の格体系を、それぞれ機能類型論の視座から考察した。これは上記(1)の内容である。また小川と藤縄は、アジア・ゲルマニスト会議2008(金沢星陵大学)で小川が議長を務めた分科会「アジアとヨーロッパの言説」で共に口頭発表を行った。両者とも言語学、とりわけ機能類型論がもつ、隣接学問分野への新たな言説の可能性を探った。小川は言語タイプの中心的ならびに周辺的な特徴と文化タイプの顕在的ならびに潜在的な特徴との関係を論じることで文化学へ、藤縄は言語の意味機能と、音韻特徴を包括する音楽性との連関をテーマにすることで認知論へ向けて、それぞれに貢献を図った。これは上記(2)での成果であり、近くドイツにおいて刊行物となる予定である。
すべて 2009 2008
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件)
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