インド・ジャールカンド州を中心に分布するムンダ語には、感情語と呼ばれる単語がある。感情語とは、いわゆる擬態語や擬音語に類するもので、オノマトペと呼ぶ研究者もいる。しかし、インドにおいては、エメノー・カリフォルニア大学教授が1980年の論文の中で、Expressive、つまり感情語と命名して以来、感情語と呼ぶことが多い。したがって、申請者も感情語と呼ぶことにする。 すでにデータベース化されたホー語やムンダ語のデータから、感情語をぬきだして、感情語だけのデータベースをつくる。これまでのディニーン神父によるホー語辞典やホフマン神父が中心になってまとめられたエンサイクロペディア・ムンダリカのデータは、同意語としてならべている感情語が多い。しかし、日本在住のムンダ語ネイティブ・スピーカーによれば、これまでの辞典などで同意語として並べられている単語についても、微妙な細かい区分があるという。そこで、すでにあるデータベースであるエンサイクロペディア・ムンダリカから出発して、インフォーマントと共同作業を通し、細かい分析もくわえる。 昨年度は日本在住のインフォーマントが病気などで打ち込みが遅れていたが、今年は打ち込みを中心にやってもらった。時間的には予定よりも多くかかることがわかり、最終的には項目を選んで打ち込んでいただくことにしている。 昨年度行われた国際オーストロアジア言語学会に参加し、感情語について発表をした。また、感情語に関する論文もまとめ、国際学会の報告論文集に刊行される予定である。
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