国語学史上ならびのその周辺の人物についての伝記的研究を中心に行なった。従来の国語学史では、著名な学者にのみ焦点をあてて行なうものが殆どであったが、この研究では、国語学関係の著述をした人のすべてについて、その学問的背景や没年等の伝記情報を探ることを目指したそのために、学者が記載されていると思われる人名録などを収集・整理することに努めたたとえば、旧帝国大学の卒業生等の名簿である『学士会会員氏名録』を年代順に見て行くと、現行の人名辞典等で、没年不詳となっている人の没年が判明したり、所属の異動がたどれた。ほかに、国語学国文学者を多く出している國學院大學の卒業生名簿(『院友名簿』)なども何年度か分を入手し、国語学周辺の著述をした人について検索し、ある程度の数の人物について、その情報が得られた。 さらに、昭和10年代の『国語国文学年鑑』の名簿や、戦後の『国語年鑑』『国文学年鑑』等の名簿についても点検した。 また、学術雑誌の彙報欄を見て行くことで、学史的な情報が得られるのだが、これら学術雑誌が図書館に蔵される際に、彙報欄がとり出される形で製本されているものも、しばしば見られ、悉皆的な調査が行ないにくいことが判明し、彙報欄の完備した学術誌を求めていたが果たせず、部分的な調査に終わった。 それでも、歿年が判明したことにより、著作権の保護期間終了が確認でき、そのことにより、当該人物の論文等をホームページ上に公開することができたものもあるなどの成果があった。
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