本研究は、実際の言語使用場面を録画・録音した「映像・音声データ」と、そこで発話された音声言語や表示された文字言語を記録した「言語データ」とを関係づける(リンクする)ことによって、相互に双方向から検索することのできる「マルチメディア・コーパス」を試作すること、および、そうしたマルチメディア・コーパスを利用すれば、(非言語行動を含む)言語使用の研究においても、大量データを使用した計量的・実証的な研究が可能になることを明らかにすること、を目的とする。今年度の研究成果は、以下のとおり。 1.映像・音声データと言語データとのリンク付け 使用許可を得た国語研究所「テレビ放送の語彙調査」データ(一部)を用い、各標本の単位語ごとに、それに対応する映像・音声データの検索情報を付与し、単位語からそれを含む映像・音声データが検索できるよう、リンク付けを完了した。 2.言語データから映像・音声データへの検索システムの構築 同じく、各標本の単位語に付与されている、見出し語情報・品詞情報・語種情報、番組情報、話者情報、画面情報などから、該当する映像・音声データが検索・閲覧でき、必要に応じて加工できるシステムを開発した。 3.社会言語学的・(非)言語行動論的情報の付与 言語使用場面に関する社会言語学的・(非)言語行動論的情報を検討・整理した上で、映像・音声データに付与し、映像ないし音声について特定の条件(情報)を指定すれば、そこで使用された言語形式を検索することができるシステムの開発を継続した。
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