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2008 年度 実績報告書

日本語の連濁現象に関する総合的研究

研究課題

研究課題/領域番号 18520363
研究機関文京学院大学

研究代表者

鈴木 豊  文京学院大学, 外国語学部, 教授 (70216456)

キーワード連濁 / 連用名詞 / 非連濁規則 / 後部成素 / 類推
研究概要

動詞連用形から転成した名詞(以下これを「連用名詞」と称する)を後部成素とする複合語に関して、「目的格(ヲ格)の場合は非連濁形をとる」という規則(条件・制約)が連濁に関する先行研究の中で指摘されている(以下この規則を「ヲ格非連濁規則」と称する)。そしてそのことは「熟合度」に関係すると説明されている。本年度の研究ではこれまで十分な理由づけがなされてこなかったこの非連濁規則の例外について、「熟合度」が連濁/非連濁の決定にどのように関わっているのかを、複合語の語構造と後部成素としての連用名詞の用法を詳しく検討することを通じ、以下のような新たな条件を設定することでより合理的な説明が可能とすることを目的とした。(1)ヲ格非連濁規則の例外と見なされてきた「人相書き」・「石積み」・「板敷き」・「タイル張り」・「梅干し」「縄張り」等はその意味が「〜ヲ〜シテアルコト」であり結果の持続のアスペクトを表したり、あるいは結果の持続の意味がさらに特定の事物に転じている場合であり、通常のヲ格連用名詞が「〜スルコト/モノ/ヒト」の意味をもち非連濁形を取ることと対照的である。(2)「甲羅干し」「命拾い」等は「甲羅を干すこと」「命を拾うこと」ではなく、比喩的な意味であり連用修飾格に近い用法である。(3)「兎狩り」「雑巾掛け」など意味の分化を清濁に対応させることによって連濁したものがある。ヲ格連用名詞としての用法「石積みに行く」は動詞連用形の用法「石を積みに行く」との間に「積む」という動作性を中心とした意味の近似性があるが、(1)(2)の用法との間にはそれがない。通常のヲ格連用名詞は類推の力が非連濁の制約として働き、(1)(2)の用法(「動作性」から「状態性」に転じた意味をもつ)では類推の力が働かないために連濁したのである。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2009

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] 動詞連用形転成名詞を後部成素とする複合語の連濁2009

    • 著者名/発表者名
      鈴木 豊
    • 雑誌名

      文京学院大学外国語学部 文京学院短期大学紀要 第8号

      ページ: 213-234

    • 査読あり

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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