現代の日本には理系、文系を問わず各種の学問分野が存在しているが、それらにおいて使用されている学術用語・専門用語に関して、主要な文献資料の確認を行うとともに、それらの中から、特徴的な漢字、なかんずく特徴的な漢字の字体すなわち略字・俗字などと称される異体字に問題の生じうる事例について、網羅性を意図しつつ採集する作業を実施した。 そのような調査を通じて得られた個々の字に関する情報について、データベース化の作業を行い、分野、位相などの観点を加えながら整理・分類を施した。 それらの作業と併行して、そのように出現した漢字の字体に対して、種々の属性情報の確認を進めるとともに、それらに関わる具体的な術語、用語の抽出を試行した。 以上の調査・研究によって明確化した、特徴的な漢字とその字体とが、実際に出現した時代や、社会的環境などの背景についても考察を行うために、関連しうる各種専門分野の諸文献などについての検討にも着手した。その際には、現代の日本の諸学界を対象とするだけではなく、その歴史的な変遷、経緯やさらには中国や韓国などを含めた漢字文化圏内でのそれらの位置付けを探索するために、歴史的な文献資料や外国語の文献資料をもその対象として加え、検討と実証を開始した。 上記の調査・研究に基づき、成果公表に向けた編集作業も部分的に開始した。とりわけ医学方面における漢字やその字体などについての当調査・研究による一部の成果については、研究代表者により、著作や論文等において、既に公表を開始している。
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