「複合メディアによる東京弁アーカイブの構築と電子的公開」の目的は、旧来の研究では埋もれてしまう可能性のあった東京弁としての貴重な一次資料を、汎く利用できるような形にして蘇らせようとするものである。秋永の聞き取りによるアクセントなどの言語情報が付加した自然度の高い談話資料として、文字化データと音声データをセットで利用できるよう電子化し、談話資料、アクセント資料、東京方言語彙資料のデータベースとしても利用できる基礎資料を完成させることができた。本研究で完成させた16資料の「音声+文字化」はPDF化し、インデックスから音声あるいは文字化資料の該当部分にアクセスできるよう設計した。このことにより東京方言の伝統語彙、あるいはアクセント、音声的バリエーションの実態を高品位な音声で知ることができるようになった。本資料は、音声データの圧縮もかけておらず、音響分析にも十分耐えられるものであり、秋永の聞き取りによる東京方言アクセント資料としても利用可能であり、今後インターネットでの公開、東京語データベース構築、自然談話、シソーラス作成の重要な基礎データとしても高い価値があると考えられる。特に、東京方言の地域差・位相差面の豊かさを、コンパクトに理解できる資料として完成している。方言研究、日本語教育、音声学研究者はもとより、他の研究領域からの利用も期待できる。
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