本研究は、古代日本の墨書資料、伝本資料を対象として、語表記のありようについて調査・研究を行った。具体的な研究成果の概要は以下の通りである。 〔1〕複合語を含めた熟字の調査・分析 (1)『万葉集』の複合語の調査:『万葉集』に使用される複合動詞のデータを作成した。 (2)正税帳における熟字の使用:正税帳に使用される「都合」についてその性質を明らかにした.研究成果は、国語文字史研究会編『国語文字史研究 10』(和泉書院)に掲載された。 〔2〕仮名(借音字・借訓字)の調査・分析:『万葉集』訓字主体表記巻における仮名の使用について調査を行い、その構造的な様相について検討・考察を行った。研究成果は、平成20年度中に論文に取りまとめる予定である。 〔3〕複数の字体を有する訓字の調査・分析 (1)『古事記』の数字表記の研究:『古事記』の数字表記について、大字と通常字の使用のありようについて分析・考察を行った。研究成果は、「古事記年報」(古事記学会学会誌)に掲載された。 (2)天平期における公文の数字表記の研究:天平期のける公文の数字表記について分析・考察を行い、日本語学会2007年春季大会において研究発表を行った。 〔4〕義訓の調査・分析:『万葉集』に使用される義訓の定義について先行研究に基づき、整理・検討を行い、国語語彙史研究会において発表を行った。
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