平成18年度は、 (1)本科研で扱う結果構文に基づいた構文イディオム(You scared the living daylights out of me)、体内移動構文(I got to my feet.)、'd rather+S構文(I'd rather you didn't.)、One's Way構文(I made my way to the Savoy.)を、1つ1つ取り上げ、英語の周辺部を成すこれらの構文イディオムの解明に、特に有効である現代英語の世界最大規模コーパスThe Bank of English(約5億2千万語)、The British National Corpus(約1億語)を用いて、母国語話者の直感や手作業による資料収集だけでは気付くことのない言語事実の発掘に努めた。 (2)本科研を遂行する上で必要となる大規模コーパスに関する知識が集中的に得られこともあって、英語コーパス学会から要請があった第28回大会の司会を引受けると同時に学会に参加し、貴重な研究資料を得た。そして、研究発表1及び研究発表2の司会者による研究発表報告を英語コーパス学会News letter 55に執筆した。 (3)本科研のテーマの一つである'd rather+S構文(I'd rather you didn't)を含めて、構文とそれを分析する言語理論に関して第2回英語語法文法セミナーにおいて講師を務めないかという要請が英語語法文法学会よりあったので、「文法の拡張」と題して講義を行った。 (4)本科研は、研究題目に含まれるように生成理論による研究であるが、生成文法についての平易な紹介を書くように出版社から依頼があったので、自分の頭の中を整理する上で役立つと考え、「言語能力の解明としての言語学」を『新英語学概論』(英宝社)の1つの章として執筆した。 (5)本科研は構文イディオムの研究であるが、それを一部扱った大著Simpler Syntaxを書評するよう日本英文学会から依頼要請があったため、書評し、投稿中である。 (6)学術雑誌『英語青年』より「形式と意味のミスマッチ」に関する論文を書くよう依頼があったので、本科研と深いテーマなので、執筆した。
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