研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、副詞の特性を精緻に記述した上で、副詞の統語的・意味的振る舞いからミニマリスト・プログラムにおける理論装置を検証し、言語システムの構築を目指すものである。本年度は、この目的を達成するために、研究計画に従い次の2点について行った。1.ミニマリスト・プログラムに関する基本的概念及びその枠組みにおける言語事実への具体的適用の仕方等について先行研究を分析することによって、ミニマリスト・プログラムの理論装置の分析・整理を行った。2.ヘルシンキ、ブラウン、FOB、FLB等のコーパス資料から基盤となる認識様態副詞の通時的・共時的言語データを収拾し、副詞の分布毎に分類した。これらの研究から次の知見を得た。1.Chomsky(2005)における最新のミニマリストプログラムの枠組みのもとで、副詞の認可方法を再検証し、認識様態副詞は主要部となる周辺機能範疇によって一致(Agree)のもと認可されるということが新たに提案できた。この提案は副次的に周辺機能範疇の存在を支持する立場を明らかにできた。2.コーパスを用いた認識様態副詞の歴史的発達を分析することによって、(1)認識様態副詞は初期近代英語期に出現したこと(2)分布の変化が意味の発達に平行していることを示すことができた。これを元に、周辺機能範疇が近代英語期に出現したということを提案し、上記1で提案したミニマリストプログラムに基づく副詞の認可システムの妥当性を歴史的観点から補強することができた。これらの研究成果は、1.日本英語学会第24回大会(2006.11.東京大学)におけるシンポジウムでの発表(「定形説における機能範疇の出現:文副詞の認可を中心に」)、及び論文2.「現代英語における認識様態副詞の分布:probablyを事例として」、3."A Corpus-based Study of Epistemic Adverbs in Early Modern English"の3点によって具体的成果として発表した。
すべて 2007
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New Directions 25
ページ: 113-122
Exploring the Universe of Language : A Festschrift for Dr. Hirozo Nakano on the Occasion of His Seventieth Birthday
ページ: 145-158