研究概要 |
理論的研究として、2006年に筑波大学に提出した博士論文を改訂し、ひつじ書房よりSyntactic Structure and Silenece として2008年2月に出版した(札幌大学出版助成を受けている)。句構造を音韻構造に写像する規則および音韻構造から句構造を者蔵する規則を提案し、それが音韻論・統語論で有用であることを論じている。 また、この理論を基に、2つの文の間に起こる音韻変化について考察し、"Intrasentential prosody:Conjuncdon,speech rate and sentence length"として、International Symposium on Discourse-Prosody Interfaces(2007年9月ジュネーブ大学)で発表した。 さらに、左枝分かれの統語構造は、右枝分かれの統語構造よりも、せまいjunctureの音韻構造へ写像されることをPhonology Forum2007(8月27-29日、札幌学院大学)の講演で発表した。その一部を論文"Symmetry and Asymmetry in the Syntax-Phonology Interface"(『音韻研究』第11号、日本音韻論学会)にまとめた。 このjunctureの非対称性をもとに、音節構造と語順の相関性を考察し、"Do OV languages have simple syllable structure?"として、言語類型論学会(Association for Linguistic Typology7,2007年9月パリ)で発表した。 実証的研究として、被験者を集め、例文の発音を録音して、パソコンに音声ファイルとして記録した。実験・データ収集および分析は、補助を依頼し、音声分析ソフトを使った。結果を表計算ソフトでまとめ、考察を加えた。 2つの節または文の間のポーズ、ピッチリセット、initial loweringを計測・計算し、日本語では順接関係の方が逆接関係よりも長く、大きくなることを発見した。これは、次年度の2008年4月、Experimental and Theoretical Advances in Prosody(Cornell University、April11-13,2008)で発表する。
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