研究課題
基盤研究(C)
平成18年度研究計画書に従い、次の2つの課題の遂行にあたった。(1)近年の音韻理論で重要と見なされる文献の収集と整理を行った。(2)また、音韻分析に必要な英語の音声データを独自に収集した。(1)は、すでに多方面で受け入れられている他の音韻理論を比較検討する上で、必要不可欠な課題項目であり、生成能力に厳しい制約を呈するモデルを提案するのに有用であると思われる。(2)の英語の音声データは、英国に渡り、英語の様々な方言から収集した。それらのデータは、近年の音韻研究において問題とされている様相(喉頭特性等)を捉えるためのもので、収集にあたり、ロンドン大学のJohn Harris教授と数多くの意見交換を行った。以上の遂行課題項目に加え、(3)エレメント理論を用いて収集した音声データの分析をし始めた。この理論を用いることで、従来の素性理論では解明することが難しいとされてきた諸問題を、新たな視点から説明できるものと思われる。以上の研究成果は、本年度の9月に東北学院大学で開催された国際音韻論ワークショップ「Strength Relations in Phonology」において、"Headship as Melodic Strength"という題のもとで報告された。研究代表者はこのワークショップで研究発表を行っただけでなく、ワークショップ自体を、同僚とともに企画・開催し、関連分野の研究者であるオランダ・ライデン大学のColin Ewen教授を招聘した。Ewen教授の参加により、ヨーロッパで発展した理論の諸相を議論することができ、同時に日本国内の音韻論研究者にとって貴重な意見交換の場を提供することができた。
すべて 2007
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A Minimalist View of Components in Generative Grammar, Tohoku Gakuin University 3
ページ: 1-22