研究課題
基盤研究(C)
H19年度の研究概要は、主に以下の通りである。(1)若年層日本語母語話者に対して行なった調査データについて、文字スクリプトをデータベース化し、発話末表現形式および音声スクリプトの韻律的特徴について分析をおこなった。その結果、以下の2点が明らかになった。a.統語レベルの表現形式のヴァリエーションについては、統計的に有意な男女差は見られなかった。b.同一の表現形式を使用していても、音声として表出した場合の韻律的特徴すなわち音の高さと長さには有意な男女差が認められた。特に、女性は場面によって韻律的特徴を使い分けるが、男性にはそのような使い分けは見られなかった。男女の韻律的な特徴は、いわゆる「言い淀み」や長音化を表す表記にも反映されていた。(2)海外共同研究者の西沼行博氏(フランス国立科学センター)を招聘し(10.26-11.6)、上記(1)について社会言語学的および音響音声学的な観点から考察をおこなうとともに、今後の調査実験の枠組みについて検討した。(3)海外協定校であるドイツ・トリア大学およびハイデルベルグ大学に赴き(2.18-2.24)、日本語学科専任講師の先生方に個別に面談し、学習目的の変化やカリキュラム全般についてお話をうかがうとともに、メディアを通して知る若年層の日本語表現に対する関心や理解・運用の状況について、専門家の立場からのご意見や情報の提供をいただいた。また、トリア大学日本学科のヒラリア・ゴスマン教授と面談し、ドイツの若者における日本の現代文化受容の状況や本研究課題に関連する最近の社会言語学的、音声学的研究の動向について情報の提供をいただくとともに、来年度にご協力いただく予定の調査項目および調査方法について、具体的な検討を行なった。
すべて 2007 2006
すべて 雑誌論文 (3件)
社会言語科学 第9巻第2号
ページ: 30-40
Actes des XXVI^<es> Journees d' Etudes sur la Parole
ページ: 97-100
Studientexte zur Sprachkommunikation. Speech Prosody -3rd International Conference. (Hoffmann, R diger, Hansj rg Mixdorff eds.) (Dresden, TDUpress.) (CD-ROM)(CD-ROM上に記載なし)