本研究の目的は、大東亜戦争中日本の占領下のシンガポールにおける、ラジオ放送や新聞などのメディアによる日本語の普及と使用された教科書を調査し、メディアによる日本語普及の実態を明らかにすることにある。研究代表者(郭俊海)は、平成18年9月4日から9月21日まで約3週間にわたって、シンガポールに渡航しシンガポール国立大学、シンガポール古文書館、シンガポール国立博物館にて、戦時中に刊行された英語新聞「Shonan Shimbun(昭和17年2月20日初刊-昭和20年9月6日廃刊)のラジオ日本語講座「Nippon-Go Lesson」を対象に調査を行い、日本語普及や日本文化宣伝の関係記事を収集した。 これまでは、上記の新聞に刊行されているラジオ日本語講座のテキスト(昭和17年2月-昭和20年9月)の3年7ヶ月分の目録を、刊行された時間順に作成した。また、日本語普及や日本文化宣伝の関係記事のタイトルを刊行の時間順に目録を完成し、一般公開にむけて引き続き綿密な考察を行い情報の漏れなどの補足作業を行っている。 現時点では、収集した初年度分(昭和17年2月-12月31日)の「Nippon-Go Lesson」を語彙、文法別に分類・分析を行い、内容、シラバス上の特徴をまとめている。その結果の一部を、今年中国やオーストラリアで開催される国際学会で発表できるように準備作業を進めている。また、漏れや不備が生じ一部の資料については、今年度の夏期休暇中に再びシンガポール国立大学を訪問し追加調査を行う。
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