研究概要 |
東アジアの言語を母語とする日本語学習者は共通して破裂音の習得が困難である。特に日本語の無声破裂音は、破裂音の立つ位置によつて中国人日本語学習者および韓国人学習者には有声破裂音と誤聴される。その誤聴はなぜ起きるのか、これまでの習得研究の成果により日本語の無声破裂音がその鍵を握ると思われる。 本研究では、日本語話者の無声破裂音、中国語話者の無声無気音、韓国語話者の濃音の喉頭筋電図、MRIの実験データを採取し、各言語の破裂音の特徴を調べるとともに、特に第2言語習得に言語干渉を及ぼす言語音間の類似性を探ることを目的としている。 初年度は、先ず(株)国際電気通信基礎技術研究所ATR脳活動イメージセンターに申請し、MRIの使用許可を得た。次に、先行研究を収集し、実験における調査項目をリストアップした。東京を方言とする日本語話者男性2名、上海出身の上海語話者男性1名女性3名、北京出身の北京語話者男性2名、ソウル出身の韓国語話者男性2名に実験協力を仰いだ。そのうち実験に適性のある被験者を同研究所で実験を行ない、音声および画像によるデータを得ることができた。今後、追加実験を行なっていく予定である。 現在、実験データを分析し、先行研究との比較を行っている。なお、本研究に関連して、三重大学国際交流センター紀要(第2号)に「韓国人学習者の日本語破裂音の習得研究-知覚と生成のメカニズムー」、日本音声学会全国大会では「韓国人日本語学習者の語頭破裂音を含む語のアクセントパタンについて」、Masako Fukuoka(2006)"Plosive Acquisition Study of Chinese (Beijing/Shanghai) & Korean(Seoul)) Students of Japanese-Pronunciation Perception-"(「中国人・韓国人日本語学習者の破裂音習得:知覚と生成」)International Conference on Japanese Language Education, ICJLE (日本語教育国際研究大会)2006、Association of Tbachers of Japanesee(ATJ) & National Council of Japanese Language Teachers (NCJLT) SESSION7で研究発表を行った。
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