研究概要 |
本年度は、先行研究及びH18年の研究成果に基づき、引き続き日本人日本語教師及び中国人日本語教師による授業実践のデータ収集,及び,その観察を踏まえての教師へのインタビューを軸にしてフィールドワークを実施した。具体的には、日本国内(Y日本語学校、AK国際教養大学)と海外(T外国語学院、T師範大学等)の日本語教育現場に出かけ、国内では3名、海外では4名の日本語教師に対して授業観察とインタビューを行った。 研究成果については次の二点にまとめられる。 一つ目は、日本語教育における授業研究としてのライフヒストリー的なアプローチの確立である。授業研究の方法論としては、従来一時間単位、あるいは長くても単元単位の授業分析が主であったが、一時間、単元レベルを超えた授業者の授業スタイルは、必ずしも明らかにはされてこなかった。授業スタイルの形成と変容を明らかにするためにライフヒストリー的アプローチの有効性を明らかにすることができた。 二つ目は、日本人日本語教師が日本における授業研究(Y日本語学校)、そして、中国人日本語教師が中国における授業研究(T外国語学院日本語学部)、およびライフヒストリーインタビューのさらなる展開である。教師の授業スタイルの形成にとって日中における異なる要因(言語環境、文化的社会的背景)、及び、共通する要因(例えば、日本語の言語的特質に基づく教授方法)が大きな役割を果たしていることが明らかになった。 以上の研究成果を、日本語教育学会関西集会、中部教育学会、鈴鹿医療科学大学研究紀要、及び、本研究の最終報告書において発表している。
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