研究課題/領域番号 |
18520415
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研究機関 | 大阪産業大学 |
研究代表者 |
長谷川 哲子 大阪産業大学, 教養部, 講師 (20368153)
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研究分担者 |
堤 良一 岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (80325068)
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キーワード | アカデミックライティング / 留学生 / 作文評価 / 分かりやすさ / 分かりにくさ / 作文教育 / 大学教員 / 教材開発 |
研究概要 |
平成19年度においては、平成18年度に行った作文評価調査および作文執筆調査の結果集計とその分析を行った。ここでいう「作文」とは、「意見文」を指す。大学教員を対象とした日本語非母語話者作文に対する評価調査の結果から、平成18年度には、どのような作文が分かりやすいと評価されるか、という点に着目した分析を行い、大学教員による作文評価においては、文法や表現よりも、文章の構成のほうが重視されやすいことを明らかにした。この結果をうけて、平成19年度は、分かりにくい作文とはどのようなものか、という点に注目し、その具体的な要因に関する考察を試みた。これは、従来、分かりやすい作文や模範的な良い作文についてのモデル提示を行う教材は数多くあるものの、分かりにくい作文や評価が高くない作文について、なぜそのように評価されるのかに着目した指導法や教材の開発が十全に進められていないことによる。調査結果の分析および考察の結果、分かりにくいと評価された作文においては、主張を述べる文とそのサポートとなる事実を述べる文の対応が不完全である傾向が見られた。そして、この主張とサポートとの対応が十分でない場合、読み手、つまり評価者の備える意見文の「ひな形」からの逸脱とみなされ、評価が低くなることを示した。これは、今後のアカデミックライティング指導における具体的なシラバス作成に資するものであり、この成果に基づいて、教材試作案を作成した。最後に、非母語話者である留学生がどのように非母語話者作文を評価するかという観点から、予備的な調査を行った。その結果、特に内容面について、留学生と大学教員の注目点が異なっていることが分かった。このことは、これからのアカデミックライティング指導において、どのように評価されるか、という読み手を意識したライティングへの意識を喚起することの必要性を示唆している。
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