本研究の目的は、静岡県沼津市で平成18年度から実施されている言語教育特区での成果を調査することである。同市で実践される小学校・中学校(小・中)連携の下におこなう英語教育実践を縦断的に観察し、児童・生徒に身につく英語能力がどの程度のものになるのか調査している。すなわち、「連携のとれた小・中一貫教育をおこなえば、中学校卒業時での英語能力は現状よりも全体的に向上するはずである」という仮説を立て、その検証をおこなってきている。 観察を実施する小学校と中学校は、沼津市の研究校に指定されている学校数校である。毎月の定期観察以外に、本年度も、平成20年2月から3月にかけて指定校の中の2つの小学校と2つの中学校を対象に、口答試験と筆記試験による英語能力調査を実施した。調査内容は、英語の読解力、語彙力、文法能力、表現能力の調査である。特に、今回は初めての試みながら、小学校6年生に対して文部科学省が平成19年度と20年度におこなった内容と同様のスピーキング調査を2校で実施した。この結果を文科省の結果と比べることができる。なお、前年度(19年度)の調査結果の一部は、中部地区英語教育学会で口頭発表し、また同学会の紀要にも公表した。英語能力調査は今回で3回目である。詳細な分析により、沼津市の中学生の平均的な英語能力が把握できることになる。本年度(21年度)は最終年度になるため、4年間の総まとめをおこなう年度となる。
|