研究概要 |
本研究の最終的な目的は,様々なレベルの工学系英語学習者のための,自律的・総合的英語語彙学習システムの開発であり、ここでは,インストラクショナルデザインの考え方を取り入れて,ニーズ分析・言語材料の特定・e-learning教材の作成・学生の学習状況のデータ分析・分析結果の教材へのフィードバックという連続的・循環的流れに沿った,学習システムの構築を試みた。18年度は,ニーズ分析の結果を踏まえて,本研究で言語材料として使用するべき語彙表を,独自に構築した学技術論文・科学技術記事テクスト・コーパスより切り出した。19年度は,この語彙表を踏まえて,音声認識テスト・文字認識テストやfMRIによる脳機能の測定を行い、e-learning教材にどのように音声を組み込むべきかを調査した。これらを踏まえて、20年度は、オンライン語彙学習のためのe-learningを実施し、学習履歴・学習成果の分析より、システム改良を目的とした評価を行った。評価の観点は、1)学習の継続・持続、2)自律的学習活動の有無、の2点である。また、関連学会においては、成果の発表を行った。 20年度の研究結果: 1.学習の繰り返し回数と繰り返しまでの時間、学習の持続との関係を分析した結果、7回以上の繰り返しに効果が表れることが分かったため、何らかの方策で7回の繰り返しをシステムに組み込むことが有効であると考えられる。 2.初級から中級レベルの学習者は、学習活動が単純化した方が持続性・自律性の高まりが見られた場合があったため、レベルによってシステムの変更を可能にする必要がある。 3.本研究では十分に行うことが出来なかったが、多義語の教材への落とし込みに関しては、さらに細かな調査・分析が必要であり、コーパス分析に際して、対応分析の応用が有効である可能性がある。
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