研究概要 |
第一年目に行ったワークショップの参会者より,1)「辞書の検証」「あるべき姿の提案」のみではなく,理想的な記述の具体例まで示してほしい,2)電子辞書も扱ってほしい,という要望を多数受けた。これを受け,2年目は,「研究実施計画」に記載した項目のうち,形態素の自由/拘束,語彙の社会的レベル,方言/口語,などの研究課題に着手することを見あわせ(ただし,研究のための基礎資料は作成したので,今後,この研究テーマを継続することは可能である),上記の要望に応えるべく,前年度の研究を深化させた。その結果は,以下の通りである。山崎は,幾つかの分野の事象についてオントロジーを構築し,それを辞書の用例採択のためにどう使用するかについて,具体例を示した。三宅は,動詞・名詞の兼類語(複数の品詞にまたがる語彙)のみではなく,形容詞・名詞,類別詞・名詞の兼類語などについても,統一した記述基準と記述例を提示した。遠藤は,幾つかの多機能語について,認知言語学的視点から派生関係を明示するネットワークを構築して示した。電子辞書の検証のために新たに研究組織に加わった清原は,最新の電子辞書のすべてについて,学習者の視点から検証を行い,言語学習のツールとしての電子辞書はどうあるべきか,改善の具体例を示した。これらの成果は,第2回のワークショップ『辞書の未来・未来の辞書』(関西大学,'08.3.9)で発表された。
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