研究概要 |
本年度は、以下のような研究実績があった。 1)社会文化的アプローチを援用した外国語教師教育に関する文献調査。 社会文化的アプローチと言語教育に関する最新の理論をまとめ,理論の枠組みを構築する。特に、Karen Johnsonが提示する「言語教師教育の社会文化的転回」に関する論文が、大きな示唆を与えてくれた。また、ケース・メソッド,ナラティブ・アプローチといった方法が,海外の外国語教師教育にどのように取り入れられているかを調査した。この数年で、多数の関連文献の出版があり、関連する研究資料の整理を行った。 2)外国語教師教育に関する海外研究者との共同研究の実施 英語教育に関する国際セミナーを平成19年3月14から17日に実施し、申請者は実行委員長を務めた(予算は、科学研究補助金から支出されていない)。このセミナーにおいて英国、米国、ブラジル、韓国、フィンランドなどの海外の研究者との交流ができた。平成19年度も引き続き、交流を行う予定である。 3)社会文化的アプローチを援用した教師教育の試行 ・申請者が勤務校の大学院において担当している「英語科カリキュラム開発論」において社会文化的アプローチを援用した英語教師教育を試行した。具体的には、Teaching Portfolioを学生に作成させ、これまでの教師経験および大学院の教育の中での学びをナラティブによって振り返ってもらった。英語教師の「状況的な学び」,「個人の歴史の上に立つ学び」,「事例からの学び」,「協同による学び」を明らかにする上での資料となった。この研究成果については、平成19年度に学会にて発表する予定である。また、Teaching Portfolioについては、電子版のePortofolioに発展させ、教師の学びを深めるシステムをネット上に構築する。
|