本研究の目的は以下の二つであった。 1.松江時代にハーンが学生に書かせた英作文のガラス乾板94枚が熊本県立図書館において発見されたものを読み進め、判読復元と翻訳作業を行うこと。 2.その際ハーンは学生にどのようなテーマを与え、どのような異文化理解のスタンスをもっていたか新たに検証してみること。 これに基き今年度の研究実績は以下のようなものであった。 (1)作業を円滑にするために二人の院生による研究補助員を選定して週一回のカンファランスをもち、資料収集と分析を行い、研究の深化と充実を図った。 (2)生徒の英作文の生資料とハーンによる添削のハンド・ライティングの判読復元を行い、英文の約7割の下判読を行い、同時にその下和訳に取りかかった。 (3)出版物としては大阪大学英文学叢書『<異界>を創造する』(英宝社)、島根大学附属図書館発行の『教育者ラフカディオ・ハーンの世界』(ワンライン社)、さらに八雲会(松江)の全国機関誌『へるん』(平成18年6月発行)に研究成果の論文が掲載された。
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