研究概要 |
本研究の目的は、英語の母語習得と第二言語習得におけるリズムパターンの生成を比較・分析し、リズムの生成メカニズムの中で、習得の順序、速度、完成度を説明し、リズムパターンの生成モデルを構築することである。第二言語の習得開始年齢の要因が、生成パターンに与える影響を検討し、さらに母語話者の生成パターンの習得との比較を実施した。 本年度における被験者は、平成18年度における被験者グループ(Group1〜Group3:米語母語話者成人、米語母語話者小学生、海外滞在経験のない日本人英語学習者)に加え、日本人英語学習者で、海外滞在経験がある被験者(Group4)を用意した。学習開始年齢と音声言語習得との関係を観測・分析するための、予備実験を実施した。ここで予期された問題として、海外滞在経験の期間と英語学習開始年齢の制御が考えられた。被験者グループ4の英語能力をTOEICによって測定した(Total score:660点〜945点,Listening Section score:395点〜495点,Reading Section score:235点〜450点)。これらの被験者を対象に、生成実験を実施した。実験資料は、ストレスを担う内容語と弱形として生成される機能語の生成パターンを観測するための実験文と生成のストラテジーを観測するための短い談話を用意した。持続時間制御に関する分析の2つの観点は、単語内持続時間制御とISI(Interstress interval)内持続時間制御であった。これらの音響要因によって測定された音声言語習得の完成度に関し、学習開始年齢と海外滞在期間によって、大きく2つの被験者グループの傾向が観測された。本年度の実験結果は、音響要因・TOEICスコアと学習開始年齢・海外滞在期間との関係をさらに分析していくことが、リズムの生成メカニズムを明らかにするために重要であることを示唆した。
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