本研究は、日本人学習者の英語文章(説明文)産出プロセスが、3年半の長期にわたってどのように変化・発達していくのかを質と量の両面から追跡調査することを目的にしている。本研究者は、この実験のため、平成14年〜17年度に科学研究費の交付を受けた(基盤研究C課題番号14580311)。しかし、交付2年目の平成15年に「1年次にプロセスライティングの指導を受けない学生との対比」という新たな課題を盛り込んだため、被験者数が当初の2倍(合計37名)にふくらみ、研究の最終的完成を2年延長せざるを得なくなった。平成17年に観察が終了した9名を除き、現在も28名の被験者を対象に調査・観察を継続中である。平成18年度には、平成15年と平成16年に大学1年だった2グループ(13名と15名)が、それぞれ大学3年生と4年生となったため、以下のように計画を実施した。(1)平成18年6・7月:被験者28名全員を対象に一般英語力や英語で書くことに関する3年次以来の学習経験、英作文に対する自信や動機づけなどを調査した。又、28名に個別に、平成15年度から年一回書いてもらった英作文と同様な課題の英語説明文も書いてもらい、書くプロセスの詳しいプロトコールデータを採取・転記した。(2)平成18年12月:平成19年3月に大学を卒業した4年生13名を対象に、大学入学時から3年半にわたる、一般英語力、英作文力、書くスピード、書く際に使うストラテジーの種類の個々人の変化について、「変化したと思うか、その変化は何に影響を受けたと思うか」について、個別にインタビューした。(3)(2)のデータを分析し、「大学入学時から3年半にわたる、日本人学習者の英作文力や英作文を書くプロセスの変化とその説明要因」についてのまとめ、平成19年4月にニュージーランドのオークランド大学主催で行われたSocial and Cognitive Aspects of Second Language and Teaching学会で発表した。(785語)
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