プロジェクト2年目にあたる平成19年度は、平成18年度に行った「冠詞(不定冠詞、定冠詞、無冠詞)の適切な使い分け」に関する研究に関して、研究対象者の数を大幅に増やすとともに、研究項目を増やし、より多角的に、日本人大学生の冠詞に関する知識を調査・分析した。 冠詞に関するテスト(選択肢・空所補充形式・全40問)を250名の大学生に対して実施した。空所に挿入すべき最適な冠詞を、不定冠詞(aまたはan)、定冠詞(the)、無冠詞、の3つの選択肢から選ばせた。さらに、各問題に対する解答理由を記述させ、その正答性に対する自信度を5段階評価で記させた。 上記のデータを分析した結果、日本人大学生の英語冠詞に関する知識は、冠詞の種類によって著しく異なることが明らかになった。もっとも適切に使用されていた冠詞は定冠詞であった。対照的に、無冠詞の使用に関しては、その適切な使用の困難さが顕著であった。不定冠詞は、その中間に位置していた。また、英語力と英語冠詞使用に関しては、英語力が高い学習者ほど適切に英語冠詞を使用し、その適切な使用に対して正確な客観的判断力を有していることが示された。さらに、序数や最上級など、定冠詞使用のキーワードとなる単語が顕著である場合、及び、慣用句として、冠詞を含む語句を一つのチャンクとして記憶している場合、適切に冠詞を使用していることが明らかになった。対照的に、一般的総称を示す単数名詞に対する不定冠詞や不可算名詞に対する無冠詞は、適切な使用が困難であった。
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