研究概要 |
本研究プロジェクト最終年度にあたる2009年度は、認知言語学的知見が日本人大学生の英語冠詞学習に与える影響について焦点を当て研究を行った。 英語圏国の滞在経験が1年未満の日本人学生54名を対象に研究を行った。研究参加者は、英語能力検定試験(Oxford Quick Placement Test (QPT))及び、冠詞テストの成績に基づき、2つの等質なグループに分けられ、実験群は認知言語学的知見(cognitive schema、boundedness)に基づく冠詞に関するテキストを用いて、週一回、約60分、合計3回、英語冠詞の適切な使用について学習した。一報、統制群は従来型の冠詞に関するテキスト(例、冠詞の後に来る名詞のタイプ【普通名詞、物質名詞、抽象名詞、集合名詞など】で可算不可算に関する概念を説明)を用いて、同様の学習計画(週一回、約60分、合計3回)で英語冠詞の適切な使用について学習した。冠詞に関する学習効果は事前テストと事後テスト(直後事後テストと1週間後の遅延テスト)から判断した。 ANOVAによる分析の結果、学習に関して統計的に有意な主効果が見られ[Wilks' Lambda=.37, F(2,51)=43.90, p<.0001,η_p^2=.63]、学習方法に関わらず、3週間にわたる冠詞学習に一定の効果があったことが明らかになった(M=41.3, SD=5.2 for the pretest ; M=46.5, SD=3.7 for the immediate posttest ; M=47.5, SD=4.0 for the delayed posttest ; Max=56)。しかし、グループの主効果[F(1,52)=.001, p=.97, η_p^2=.00]及び、グループと学習の交互作用[Wilks' Lambda=.97, F(2,51)=.67, .p=.52, η_p^2=.03]においては、統計的に有意な結果は見られなかった。すなわち、英語冠詞の学習において、認知言語学的知見に基づく学習アプローチと従来型の学習アプローチでは、その効果において、差はなかった。
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