平成20年度は、19年度に国際ボランティア活動参加者を対象に実施した質問紙の数量解析と、成果発表を行った。プロジェクト参加者286人と、対照群116人(参加していない学生)を対象に質問紙調査を実施し、参加の前後で態度・行動傾向(国際的指向性、エスノセントリズムなど異文化に対する態度、地球市民的傾向、社会的スキル、自己効力感など)が変化するかどうかを検証した。結果としては、参加群はすでに参加当初から対照群と有意差があったが、参加を通してさらに差が開いた指標も多かった。エスノセントリズムが低下し、国際的関心が高まるなど、プロジェクト参加のインパクトの大きさを示すことができた。また、英語学習動機や、英語でコミュニケーションをする意思など、英語教育関連の側面については、1)参加者の有志を対象におこなった半構造化面接のオープン・コーディング、軸足コーディングによる分析と、2)参加者と対照群とを数量的に比較する解析を行い、彼らが英語学習やコミュニケーションに積極的になったこと、英語を使う際の不安が低下したことなどが示された。 研究協力者(椎名)と共同で進めている大学生短期語学研修プログラムについては、3年間蓄積したデータの分析を進め、英語の語彙の習得、英語学習の意味や学習意欲についてどのような意義があるかをまとめている。また、模擬国連に参加する高校生を対象に1)異文化接触による自己概念の変化、2)国際的志向性、3)英語によるコミュニケーションの頻度について、異なったプログラムに参加する生徒とスタディアブロードに参加した生徒とを比較し、体験の中身によって、成果がどのように異なるかを調査した。以上の研究の一部は、論文にまとめている。
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