本研究の目的は、個別学習に適したCALL(Computer Assisted Language Learning)と体感音響システムを利用して情報保障をする英語教育システムを構築し、実験調査・fMRIによる医学的分析・実態調査の3つに焦点をあてて研究調査を行い、聴覚障害者にとって有効な教育システムであることを明らかにすることである。 1.聴覚障害者の英語教育における体感音響システムを活用したCALLに関する実験調査 体感音響システムとCALLを組み合わせた個別学習を、愛知県立豊橋聾学校の高等部の5名の生徒を対象として実施した。体感音響システムの骨伝導を利用した反復練習やディクテーションを行い、音声と文字の定着について調査をした結果、音声や振動の情報を付与することでスペルの定着に効果があった。音声分析による発話の変化の解析も実施して、体感音響システム利用の有効性について検証することができた。英語能力判定テストによる効果測定は、事前のみで事後の実施ができなかったので、平成19年度に実施することにした。 2.fMRIを利用した体感音響システムによる骨伝導の医学的分析 音声骨伝導についてfMRIを利用した脳のマッピング調査の実施については、平成19年度に独立行政法人国立病院機構東京医療センターにて実施することが決定し、1月に研究協力者と打合せを行った。体感音響システムがfMRIの検査環境での利用が難しいので、これに関しては別の方法でのマッピングも検討中である。現段階で進めることができる調査項目を実施することにした。 3.国内・海外の聾学校での英語教育とCALL利用についての実態調査 海外調査についてはカナダのマニトバ聾学校とタイのアヌサンスントーン聾学校で実施した。国内の聾学校では今年度は実施できなかったが、平成19年度以降での調査を数校に依頼した。
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