本研究の目的は、個別学習に適したCALL (Computer Assisted Language Learning)と体感音響システムを利用して情報保障をする英語教育システムを構築し、実験調査・fMRIによる医学的分析・実態調査の3つに焦点をあてて研究調査を行い、聴覚障害者にとって有効な教育システムであることを明らかにすることである。 1.聴覚障害者の英語教育における体感音響システムを活用したCALLに関する実験調査 引き続き聾学校の高等部の生徒7名を対象として音調核認識や発話についてのデータを追加収集することができた。障害の状態により、調査結果も様々であるので、ケーススタディを中心に分析を進めることにした。 2.fMRIを利用した体感音響システムによる骨伝導の医学的分析 ATR-BAIC(株式会社国際電気通信基礎技術研究所・脳活動イメージングセンター)にて、脳のマッピング調査を実施した。体感音響システムの代わりに骨伝導スピーカーを用いて実験を行った。今回の調査協力者は、聴覚障害者2名であった。 3.国内・海外の聾学校での英語教育とCALL利用についての実態調査 台湾の調査協力者との調整を以前より開始していたが、予算の関係で平成20年度は海外調査を実施しなかった。 平成20年度では、新たに骨伝導スピーカーを利用した調査を開始しているが、骨伝導スピーカーによる体性感覚刺激の活用という新たなテーマを見出すことができたという点で、有意義な調査となった。
|