本年度は、本研究の目標である効果的な学習指導法や教授法を研究開発するために、まず英語学習教材および教授者支援システムの開発に着手した。以下に詳細を述べる。 ・英語学習教材の選定: 本研究の推進に重要となる英語教材の選定を実施した。学習教材を選定する際には、日本人の語学学習に適した教材を選定すること、教材の評価基準を設定すること、の2点に注意した。海外で利用されている学習教材は、そのままでは日本人の語学学習者に適しておらず、期待通りの効果を得られないと考え、日本の中学、高校での学習体系から大きく離れることなく、ある程度文法事項のまとまりを持った形で学習問題を収集するよう努めた。また、教材の評価基準としては、評価項目をデザイン、コンテンツ、教育的見地の主に3つのジャンルに絞ったFernando Perez Cos(1999)と、特にジャンル分けはせず一問一答式で多くの項目を判断していくICT4LT Project 2005の、2つの定評のある評価基準を採用することとした。 ・英語教育のためのWeb学習教材の作成: 授業と融合させたWeb学習のシステム実験を実施するため、授業用テキスト、テスト用問題集、自宅学習用補助教材などのWeb教材の制作をすすめた。本年度はテスト用問題(実用英語検定3級、準2級、2級程度の3レベル)のWeb教材化、リスニング用Web教材の音声テスト作業などを実施した。さらに、作成したWeb教材とWebコーパスとをリンクさせる準備をすすめている。 ・個別学習者用教材の構築: 従来のWeb学習者は画一的な学習教材を利用しているが、学習者の多様な理解度を考慮し、学習のさなかに個別学習者用学習教材を再構築して提供する。自己モニタリング学習指導方略と仮想能力クラス編成による能力別クラス判定アルゴリズムを構築するため、Web教材の試行実験(PHP言語により開発)を実施した。
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